哲学対話を始める際、どのような問いから対話を始めればよいか迷うことがあるでしょう。ここでは、年齢層や場面に応じたおすすめの問いを紹介します。これらの問いは、哲学対話の導入として使えるだけでなく、深い対話へと発展させる可能性を秘めています。
子ども(小学生)向けの問い
子どもたちの素朴な疑問や日常的な経験と結びついた問いから始めると、自然と哲学的な思考が育まれます。
友だちの定義や、友情の本質について考える問いです。「誰でも友だち?」「友だちと仲良しは同じ?」といった問いへと発展します。
伝統と革新、保守と変革のバランスについて考える問いです。「変わらないことの価値とは?」「何のために変化する?」といった問いへと広がります。
人間関係や組織における信頼の本質について考える問いです。「信頼を築くために必要なものは?」「一度失った信頼は取り戻せる?」といった問いに発展します。
コミュニケーションや対話の意義について考える問いです。「対話と議論の違いは?」「対話に必要な条件とは?」といった問いへと広がります。
高齢者向けの問い
人生経験を振り返り、意味づけを深めるような問いを紹介します。高齢者施設や世代間交流の場での対話に適しています。
価値観や人生哲学について考える問いです。「どんな選択が自分の人生を形作った?」「今振り返って何が一番大切だった?」といった問いへと発展します。
時間の使い方や時間感覚の変化について考える問いです。「充実した時間とは?」「年齢によって時間の感じ方は変わる?」といった問いへと広がります。
経験から得られる知恵の価値について考える問いです。「若い世代に伝えたい知恵は?」「知恵はどのように育まれる?」といった問いに発展します。
人間関係や世代間のつながりについて考える問いです。「家族とは何?」「地域のつながりはなぜ大切?」といった問いへと広がります。
人生における受容と変化の関係について考える問いです。「変えられないものをどう受け入れる?」「いつまで挑戦し続ける?」といった問いに発展します。
老いの意味や豊かな高齢期について考える問いです。「老いることの恵みとは?」「人生の最期まで大切にしたいことは?」といった問いへと広がります。
良い問いを生み出すためのヒント
哲学対話で扱う問いは、できれば参加者自身から生まれることが理想的です。以下のような方法で、参加者から問いを引き出すことができます:
- キーワードからの問い生成:「友情」「正義」「美」などのキーワードを出し、そこから連想する問いを考える
- 物語やアート作品からの問い:短い物語、絵本、絵画などを鑑賞し、そこから生まれる問いを出し合う
- 日常の疑問から出発:「最近考えていること」「日常で感じる違和感」などから問いを形にする
- 対比からの問い:「自然と人工」「個人と社会」など、対比的な概念から問いを生み出す
- 「もし〜だったら」の思考実験:「もし時間が見えるとしたら」「もし嘘がつけない世界だったら」といった仮定から問いを考える
問いを選ぶ際には、参加者全員が関心を持てるか、様々な角度から考えられるか、特定の知識がなくても参加できるかといった点に配慮しましょう。
ここで紹介した問いはあくまで参考例です。実際の対話では、参加者の興味や関心、背景に合わせて問いを選んだり、参加者自身から問いを生み出したりすることが大切です。問いは対話の入り口であり、そこからどのような展開になるかは参加者の対話によって決まります。